中小企業の株価平均はいくら?非上場の目安を解説
この記事の要点
- 中小企業は非上場が多く平均株価という数値は算出できない
- 評価は純資産・類似業種比準・収益還元の3方式を組み合わせる
- M&Aでは利益の3〜5倍程度が試算の出発点になることが多い
中小企業の株価平均はいくらか:結論から
中小企業の多くは株式を証券取引所に上場していないため、「平均株価」という形で一律の数値を示すことは実はできません。非上場企業の株式評価は、業種・規模・収益性によって大きく異なり、同じ資本金1000万円の会社でも評価額が数百万円から数億円まで開くことがあります。
この記事では、なぜ「中小企業の株価平均」が算出できないのか、その代わりにどのような指標で自社や取引先の株式価値を把握すればよいのかを整理します。
なぜ「中小企業の平均株価」という数字が存在しないのか
上場企業であれば、日経平均株価やTOPIXのように市場で売買される価格の平均値を算出できます。しかし中小企業の株式は証券市場で取引されないため、日々変動する「市場価格」そのものが存在しません。
非上場株式の価格は、主に以下のタイミングで算定されます。
- 事業承継(親族内承継・M&A)のとき
- 相続・贈与が発生したとき
- 従業員持株会や役員への譲渡を行うとき
- 増資や第三者割当を実施するとき
つまり「平均株価」ではなく、「その時点・その目的に応じた評価額」が個別に算出される仕組みです。中小企業庁の資料でも、事業承継時の株価評価は個社ごとの実態に即して行うべきとされており、業界一律の相場という考え方にはなじみません。中小企業庁

AIがあなたの参謀になる人間無双を無料でお試しいただけます。
人間無双を無料で試す →非上場株式の評価で使われる3つの方式
平均株価の代わりに、実務では次の3つの評価方式が組み合わせて使われることが一般的です。
1. 純資産価額方式
会社が保有する資産から負債を差し引いた「純資産」をもとに株価を算定する方法です。会社を解散した場合にいくら残るかという視点に近く、資産に含み益がある不動産や有価証券を保有している会社では評価額が高くなる傾向があります。
2. 類似業種比準方式
上場している同業種企業の株価・配当・利益・純資産を参考に、自社の規模に比準させて株価を算出する方式です。国税庁は財産評価基本通達に基づき、相続税・贈与税の計算でこの方式を用いる場合の計算ルールを公開しています。国税庁
3. 収益還元方式・DCF方式
将来生み出すキャッシュフローを現在価値に割り引いて株価を算定する方法です。M&Aの買収価格交渉では、この方式が重視されることが多くなります。
どの方式を使うかによって評価額は1.5倍から2倍以上の差が出ることもあり、単一の「平均」で語れない理由がここにあります。
評価額の相場感をつかむための代替指標
とはいえ、何らかの目安がないと判断しづらいという状況は実際にあります。その場合は以下のような相対的な指標を組み合わせて考えると、感覚をつかみやすくなります。
- PER(株価収益率)換算:中小企業M&Aでは、営業利益や経常利益の3倍から5倍程度を目安に企業価値を試算するケースが多く見られます。業種によってはこれが2倍程度にとどまる場合も、7倍を超える場合もあります。
- 純資産倍率:簿価純資産の1倍前後で評価されることが多い一方、のれん(技術力・顧客基盤など)が評価される業種では1.5〜3倍になることもあります。
- 配当還元方式での比較:少数株主への譲渡では、配当金額を基準にした低めの評価額が使われる傾向があります。
これらはあくまで実務上の相場感であり、実際の評価額は財務状況や将来性によって大きく変動します。最終的な株価算定は、税理士や公認会計士、M&A仲介会社など専門家への相談が前提になります。
失敗しやすいケースに注意
非上場株式の評価をめぐっては、次のようなケースで問題が起きやすくなります。
- 相続時に、過去の帳簿価額だけを見て「評価額はこの程度」と自己判断し、後から税務署の指摘で追加の相続税が発生するケース
- 事業承継の際、後継者が社長一人で株価を決めてしまい、他の株主や親族との間でトラブルになるケース
- M&Aの初期交渉で、売り手が希望価格を根拠なく提示し、買い手側のデューデリジェンスで大幅に下方修正されるケース
こうした失敗を避けるには、早い段階で複数の評価方式を使った試算を行い、専門家の意見を踏まえて進めることが重要です。
株価評価を自社で簡易チェックする手順
本格的な評価は専門家に依頼する前提で、まず自社の状況を把握するための簡易的な確認手順を紹介します。
- 直近3期分の決算書(貸借対照表・損益計算書)を用意する
- 純資産額(資産合計−負債合計)を算出する
- 直近期の営業利益・経常利益を確認する
- 業種平均のPER水準(公開されている統計やM&A仲介会社の資料)と照らし合わせる
- 純資産方式と収益還元方式、それぞれで試算した金額の幅を把握する
この手順で得られる数値はあくまで社内検討用の参考値であり、税務申告や契約に使う正式な評価額としては、専門家による算定書が必要になります。
もう一つだけ:上場企業の株価指標との違い
日経平均株価やTOPIXは、あくまで上場している大企業・中堅企業の集合体を指数化したものです。中小企業の経営指標として直接比較に使うと、業種構成の違いから実態とズレが生じやすい点にも注意が必要です。自社の業績を評価する際は、上場企業の平均ではなく、同業種・同規模の非上場企業データや業界団体の統計を参照する方が実態に近づきます。
まとめ
中小企業には市場で売買される株価が存在しないため、「平均株価」という形での比較はできません。株式の価値を知りたい場合は、純資産価額方式・類似業種比準方式・収益還元方式など複数の評価方法を組み合わせ、専門家に相談しながら自社の実態に合った評価額を算定することが現実的な進め方になります。
よくある質問
- Q. 中小企業の株価平均を調べる方法はありますか?
- A. 非上場企業の株式には市場価格がないため、業界全体の平均株価という統計は存在しません。自社の評価額を知りたい場合は、純資産価額方式や類似業種比準方式などを使って個別に試算する必要があります。
- Q. 自社の株価を自分で計算できますか?
- A. 決算書をもとにした簡易的な試算は可能ですが、相続税申告やM&A契約に使う正式な評価額としては、税理士や公認会計士による算定が必要です。自己計算の結果と専門家の算定額に差が出ることも珍しくありません。
- Q. M&Aでの株価評価はどのくらいが相場ですか?
- A. 業種や収益性によって幅がありますが、営業利益や経常利益の3倍から5倍程度を目安に試算されるケースが多いとされています。ただし業種によっては2倍程度や7倍を超える評価になることもあり、一律の相場はありません。